■第二話<物語る骸> -1- 「・・・かすかに呪力が残っていやがる。 朝食抜きで飛んできて正解だったな。」 現在時刻はAM6:00。 冷える冬の晴れた朝、日は辺りを照らし始め 一日の始まりを告げようとしている。 その中で、公園に横たわる犬の死骸を 4人の男が囲んでいた。 「現場と、その周囲の写真は撮影しました。」 青い帽子を被った男が30前後と思われる、ボサボサで前髪を上げた銀髪の男に話しかける。 「よし、じゃあ車に積み込んでくれ。」 犬のそばで屈みながら様子を見ていたその男は ゆっくりと立ち上がり、帽子の男に次の指示を与える。 「いいのですか?まだ現場検証はやり切れていませんが。」 帽子の男にとってはその行動は肯けないもので 疑問を銀髪の男に投げかける。 「ああ、かまわないさ。それにさっきから通勤やら、散歩やらで 人通りが増えてきた。これを見せびらかす方が良くないからな。」 「分かりました。」 帽子の男も納得したようで、車をここまで乗り入れる準備を始めた。 「何かめぼしい物は見つかったか?」 銀髪の男が他の男たちに問いかける。 「何らかの破片などはいくつか回収しましたが、驚くべきものはありませんね・・・。」 「散らばっている血痕のサンプルは全て採取しました。」 それぞれ自分の成果を報告する男たち。 「そうか・・・。」 予想通りといった表情で銀髪の男が応答をすると、横目で再び犬の死骸を見る。 どうやら彼がこの場を取り仕切っているようだ。 「とりあえずこいつさえ持ち帰れば、何かしら分かるだろう。 ・・・ただ、気になることはあるが。」 その時、銀髪の男は何かを考えている様子だった。 次へ▼ |
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