■第十一話<調(しらべ)>
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「氏名:皆本 勝也
年齢:28
所属:村雲呪術研究所所員・・・・・。」

白い壁の薄暗い部屋でとある人物のプロフィールを見る早間。
椅子に足を組んで座り、何かを考えながら顔写真をじっくりと見る。
「呪術研究所・・・ね。」
目を細める早間。すると急に部屋の電気が点いて明るくなる。
「暗いところで書類を見ると視力が低下するわよ。」
ふと声をする方向に顔を向けると、そこには白衣で赤毛の女性が腕を組んで立っていた。
「いいんですよ、博士が居ない時は節電です。」
「そんなことを言うんだったら、人件費を削減するために私を家に帰して欲しいものね。」
呆れたように話されると、組んでいた足を下ろし女性の方に体を向ける。
「そう返されるとは予想外でしたよ。
でも今から明日まではお休みが取れたじゃないですか。」
すると女性は腕を組んだまま壁に寄りかかる。
「ようやくといったところかしらね。
でもこれって早間君が上にしつこく掛け合ってくれたからのようね。礼を言うわ。」
「いえ、礼には及びませんよ。休みを取るのは普通です。むしろ時間がかかって申し訳ないです。」
体の向きを戻す早間。すると女性は近くに寄ってくる。
「その資料は?」
「ええ、本日の仕事ですよ。緊急の人探しです。
博士が今日明日といないので丁度暇な時間だったから良かったですよ。」
「人探しを君が?調査員でもないのに何でまた?」
「何でも昨夜、村雲の所員が行方不明になったらしいですよ。
それで緊急に出来るだけ多くの所員が捜索に駆り出されたようです。」
その話を聞くと少し考える女性。
「おかしいわね、確かに所員が行方不明になることは事件だけど、
そんなに特別な体勢が取られるほどの事かしら?
・・・誰が行方不明なの?」
質問を受けた後、少し考えてから書類を見せる早間。
「ここまで知れ渡った事件です、秘密厳守は無いレベルの情報なんでしょうから
見せても良いでしょう。」
書類を受け取り目を通す女性。そして少し目を細める。
「この人・・・呪術研の声が少し高い人よね?」
「知っているんですか?」
少し驚く早間。すると女性は書類を返す。
「ええ、外川博士の助手的な立場の人だから。」
「外川博士?」
早間が聞き返すと、女性は少し意外だった様子になる。
「・・・外川博士の事、知らないの?」
「はい、初めて聞く名ですね。」
すると女性は再び腕を組む。
「そう、流石村雲ね。必要以上には情報を伝えないか。」
「どういうことですか?」
質問を投げかけると、女性は背を向けて自分の机に向かう。
そして荷物をまとめながら話をした。
「ごめんなさいね、考えてみたら機密レベルが高い事柄だったわ。
例え貴方でも言えない。」
「・・・そうですか。」
大人しく引き下がる早間。すると女性は近づいてくる。
「これからどうするの?とりあえずその人を探しに行くのかしら?」
「・・・そうですね、当てはありませんが部屋に篭っているわけにも行きませんから。」
「それじゃあここを出るついでに家まで車を出してくれないかしら?」
荷物を持って早間の前まで来る女性。それを見ると断るにも断れない状況になってきたと感じる。
「分かりました。ただ、後5分いただけますか?少し準備させてください。」
「ええ、ありがとう。」
お礼を言うと女性は近くの椅子に座る。一方早間は書類を片付け始めるのであった。



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