■第一話<見えない櫻> -1- 「すみません、お水を二ついただけますか?」 年は二十歳前後だろうか、ファミリーレストランの4人席に たった一人で座っている女性がウェイトレスに話しかけている。 良く晴れた空、時間は18時前後で星も見えてきている。 町の明かりが綺麗に輝き始めている頃だった。 その女性の要望を、快く引き受けるウェイトレス。 「あ、二名様でしたか。只今お持ちいたします。」 そう言うと彼女は、そそくさとその場から離れていった。 それを確認してから、メニューを開き始める客の女性。 「さーて、何食べようかな。」 メニューを見ながらそうつぶやき、一呼吸置くと 自分の正面を上目遣いで見る。 「アナタも何か食べる?」 ・ ・ ・ 「ワケないか・・・。」 ため息をつきながら、苦笑いのような笑みを浮かべて彼女はそうつぶやいた・・・。 次へ▼ |
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